望月さんは読めない
日本人の大姓ベスト200のうち、外国からの留学生が読めない苗字の代表格は望月さんだそうです。
日本人なら「もちづき」と読めますが、たしかに漢字からは読めませんね。同じように漢字から読み方が導き出せない苗字には五十嵐さん、服部さん、長谷川さん、日下さんなど、たくさんあります。我々は習慣で読めますが、留学生が漢字の音訓だけで読もうとすると、正しく読むことはできません。
望月さんですが、語源は満月のことです。「もち」とは「持ち」のことで、釣り合っていることを意味し、満月が左右対象だからとも、太陽と東西に正しく相対するからとも、月を待ち望むという言葉が転訛(てんか)したともいわれています。
古来から望月は欠けることのない豊かさ、偉大さ、盛大さを意味する言葉として貴ばれ、和歌の枕詞にも使われました。権力の絶頂にいた藤原道長(966-1028)が詠んだこの歌は有名ですね。
この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば
地名としては長野県佐久市望月が有名です。望月は狭義では陰暦八月十五日の満月のことを指し、この望月の地で育てられた馬がその日、宮中の武徳殿で天皇に叡覧されたことから、望月と命名されたとも、この地で毎年、陰暦八月十五日に馬を天皇に献上したことに由来するともいわれています。
望月の牧場を管理していた豪族を滋野(しげの)氏といい、その子孫からは真田昌幸、信繁父子が出ました。また一族からは望月氏も出ました。真田十勇士に望月六郎がいるのはそのためです。真田十勇士に出てくる猿飛佐助などは架空の人物ですが、望月六郎には実在のモデルがいたといわれています。
名馬を生産し、日本一のつわものといわれた真田信繁に仕えた望月さん。もっと有名になって外国人にも読まれるようになるといいですね。
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