ファミリーヒストリーの調べ方 台湾総督府の職員録

2019年03月13日


 明治28年(1895)4月17日、下関条約で台湾が清国から割譲されると、日本政府は台北市に台湾総督府を設置し、初代総督として樺山資紀海軍大将(旧薩摩藩士。孫に白洲正子氏あり)が赴任した。その後も桂太郎、乃木希典、児玉源太郎、明石元次郎など陸軍の大物将軍が任命され、総督を補佐する総務長官にも後藤新平、下村宏などそうそうたる人材が送りこまれた。

 総督府に勤務する職員数は戦時中には数千名に及んでいるが、その氏名を調べる時、大変に便利なのが台湾の中央研究院台湾史研究所の台湾総督府職員録データベース(臺灣総督府職員録系統)である。明治29年(1898)から昭和19年(1944)までの職員録から人名・官職名などを横断で検索し、該当ページをネット上で閲覧することができる。ご先祖が台湾総督府の職員だったという方は、ぜひとも検索してみるといいだろう。国立国会図書館デジタルコレクションでも『台湾総督府及所属官署職員録. 昭和9年8月1日現在~昭和10年7月1日現在 』など各種の職員録を閲覧することはできるが、記載されている職員の数、機能ともに上記のほうが圧倒的に良い。

 ちなみに日本は台湾を統治すると戸籍制度を導入した。こうして作製された戸籍は現在でも保管されているものが多く、私の受講生の中には戦前の台湾の戸籍がどうしても見たくて、台北駐日経済文化代表処に相談したところ、運よく協力を得て取り寄せたという人もいる。必ずしもこの事例のように協力が得られるわけではないだろうが、どうしても台湾時代の戸籍がみたいという人は、最寄りの台北駐日経済文化代表処に相談してみるといいだろう。私が見た戦前の台湾の戸籍は、ほぼ日本の当時の戸籍と同じ様式だった。