ファミリーヒストリーの調べ方 『日本全国商工人名録』

2018年12月22日

 

 明治から戦前にかけて商売をしていた人、会社を経営していた人を調べる時には、『日本全国商工人名録』も役立つ。これは明治25年(1892)に設立された合資会社商工社(現在の東京商工リサーチ)が発行していた日本最古の企業年鑑といわれるもので、全国の会社・商店がきめ細かく収録されている。よほど規模の小さい商店や会社でなければ、まずは掲載されている。

 記載内容は都道府県、市町村、地域別に分け、次いで営業種別に分け、さらに種別ごとに営業細目、営業税、所得税、商標(家印)、商号(屋号)、代表者名、住所、電話番号、取引銀行名などが掲載されている。屋号(商号)しか分からない場合でも、この名鑑なら調べられることがあるので、助かる。また商標(家印)が分かる名鑑もほとんどないので貴重である。

 国立国会図書館デジタルコレクションには、明治25年(1892)の第1版から昭和6年(1931)版まで、7種類がアップされ、ネットから全文を閲覧することができる。

 私はデジタル版ではなく、渋谷隆一編『明治期日本全国資産家・地主資料集成』(全5巻)に収録されている明治31年(1898)版を愛用している。これまでご先祖が商人だった、会社を経営していたという相談を受けるたびに、どれだけこれをめくったか分からない。とにかくこれでもかと言うほどめくったことは間違いない。それだけ家系調査には必備で、有益な情報源だということである。

 ちなみに渋谷隆一氏が編集された『明治期日本全国資産家・地主資料集成』(全5巻)にはいろいろな名鑑が収録されていて、ファミリーヒストリーを調べる上では本当に役立つ。その書名だけでも、ここで紹介しておこう。


第1~3巻 日本全国商工人名録 明治31年版
第4巻 

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第5巻 役員録・銀行会社要覧