葬送と先祖供養の本棚
家系図を作成する人は、だんだんと系図が出来上がるにつれて、自らの終活や葬儀のあり方、お墓のことなども考えるようになります。
現代の葬送は少子高齢化の影響を受けて大きな変革期を迎えています。顕著な特徴としては無宗教での葬儀、そして家族葬のような、葬式の簡略化です。葬儀社のほうでもこういうニーズに対応して少人数の身内だけで済ませる家族葬をしきりに宣伝するようになりました。従来のように新聞のお悔やみ欄に記事を掲載して葬儀会場を告知し、親戚、知人に知らせ、お通夜、告別式を済ませる形から、なるべく身内以外には知らせず家族だけで見送る家族葬へと変化し、最近ではお通夜や告別式を行わず、直接火葬する直葬というものまで登場しました。どういう形で亡くなった方を見送るのかは、亡くなられた方の生前の希望、見送る家族の意向などによって変化しますが、私としては儀式よりも気持ちのこもった葬送であれば、どのような形でも良いと思っています。
葬送や戒名についての本が近年、たくさん出版されました。多くは葬儀の簡素化、あるいは無用論を勧め、高額な戒名の存在について疑問を提起しているものです。
そして終活のなかで重要なのがお墓の問題です。現在、墓地にあるお墓の約40%が供養する人がいなくなった無縁墓だといわれています。これが10年後には60%にまで達するという意見もあります。これからますます少子化が進むと、お墓の継承者を直系の血縁者だけに求めるのは困難な状況なのです。そのため最近では両家墓(夫婦それぞれの家の合同墓)や墓友墓(血縁にとらわれず生前の友人と一緒に入る墓)などが登場してきました。非常に高額な「〇〇家代々の墓」というお墓に代わって、将来継承者がいなくなることを前提にして納骨堂を選ぶ人もいれば、樹木葬や散骨を望む人も増えています。古くなった墓の「墓じまい」を考えているという話もよく耳にします。
墓地の墓がその場所に建っていられるのは、墓の継承者がいることが前提です。もしも継承者がいなくなれば、その墓は遠からず魂抜きをされた後に撤去され、納められている遺骨は永代供養墓に移されます。そして墓のあった区画は更地にもどされてから再び売りに出されるのです。そういう将来のことまで考えると、どういう供養方法が良いのかは難しい問題と言わざるを得ないでしょう。まずはお墓や墓地に関して情報を集めることお勧めします。そのなかから自分で納得のできる形の死後供養を模索してみてください。
墓じまいや散骨の業者、変わり種ではなんと1万円の納骨堂を紹介しておきます。静岡県伊東市にあるお寺の納骨堂で、ご住職は懐かしいマンガ『包丁人味平』の原作者だった方です。遺骨は郵送で受け付けてくれるようです。詳しくは自己責任でそれぞれの業者にお問い合わせください。
自分史は一時のブームが沈静化した感がありますが、家系図との親和性が高い存在です。自分史や家族史を執筆するとき、家系図を付けようと思う人は多いでしょう。