系図学研究
ご先祖のことを記録や言い伝えによって調べることはいろいろな言葉で表現されます。「家系調査」「家系図の作成」「ルーツ調査」「ルーツ調べ」「先祖調査」「先祖調べ」「先祖探し」などなど。最近は「ファミリーヒストリー」などと言うこともありますね。
先祖調査の先進国であるアメリカでは、先祖調査はガーデニングに次いで二番目に趣味人口が多く、関連するWebサイトへのアクセス数も膨大な数にのぼります。
そんな欧米では、先祖を調査する手法が学問として確立しており、系図学(Genealogy )という名称で大学でも教えられています。市民の間でも系図学は人気があり、図書館や公文書館には系図学の知識を使って自らのルーツを調べにくる人が大勢います。彼らの調査を手助けするため、欧米の司書や学芸員にとって系図学の知識は不可欠だとされています。
日本では、まだ系図学が学問として成立していませんが、私は自分が行っている研究は、まさに日本における系図学だと認識しています。では、私がどのような研究を行っているのかを紹介しましょう。
私が北海道の道新文化センターで20年近くにわたって指導している系図学的調査手法を項目別にまとめたものです。この調査手法に基づいてご先祖の記録を丹念にさかのぼれば、約400年前(江戸時代)までの家系図を誰でも作成することができます。その家系図は一次史料を用いた史実と作成者の推測をきちんと峻別したものであり、アカデミックな歴史学者の史料批判にも十分耐えられる価値のあるものです。
また、私の考える家系図はただご先祖の名前を線でつないだだけのものではありません。そこには歴史ロマンに満ちた感動が必要です。子孫や一族に伝えたい、残したい「家族の歴史」の物語が必要です。読み手に感動を与えるような家系図こそが、本当に価値のある家系図だと私は考えています。
明治4(1871)年の戸籍法に基づいて、明治5(1872)年から作製が開始された近代最初の戸籍、壬申戸籍と明治初期の身分法について解説しています。
明治19年式戸籍、明治31年式戸籍、大正4年式戸籍の特徴について解説しています。
系図学的調査手法では除籍、過去帳などの活字化されていない史料群、地名辞典や郷土誌などの活字化されている文献などを用いて調査を進めます。この演習(ゼミ)では扱う調査対象をどのように理解し、解釈すべきかを実例をあげて紹介しています。
系図的調査手法を用いてご先祖の情報を集めていくと、さまざまな疑問が浮かびます。ここでは私が長年にわたって数多くの人たちを指導した経験から、よく質問される疑問について回答しています。
デジタルアーカイブとは博物館・美術館・公文書館・図書館の文書・文献をデジタルデータ化してインターネット上に提供することをいいます。欧米では国勢調査記録や教会記録など、さまざまな記録がデジタルアーカイブとして公開され、世界中どこにいてもネット環境さえあれば、これらのデータにアクセスし、先祖の記録を調べることができます。日本のデジタルアーカイブはまだまだ遅れていますが、国立国会図書館のデジタルコレクションには先祖調べに役立つ人名録や名簿類が豊富に含まれています。また国立公文書館の横断検索も利用する価値があります。ぜひお試しください。
系図学の調査、研究に役立つ文献を厳選して紹介しています。