旧土地台帳を読み解く(2)
今回も家系図作成のために旧土地台帳を読み解きます。
サンプル5
前講で学んだことを思い出せば、簡単に読み解けるはずです。
- この旧土地台帳が字(地名)の何番地かが書いてあります。
- 地目です。地目には課税対象の第一種地と非課税の第二種地がありました。公共で利用する土地、墳墓地(墓地)、用悪水路、ため池、保安林などは第二種地で非課税です。ここには郡村宅地とあるので、課税される第一種地であることが分かります。
- 地籍、すなわち土地の面積が書いてあります。宅地の場合は坪、合、勺で書くことになっていますが、ここには六畝一八歩と田畑の単位で書かれています。このような単位の混乱はよくみられる現象です。ここの単位が畝歩であることは、左隣に一九〇.〇〇とあることから分かります。なぜなら190坪は6畝18歩だからです。
- この土地の地価、不動産価格です。横棒より上が円、下が銭(せん)、厘(りん)ですから、二三円ニ銭四厘です。明治時代の1円は現代の貨幣に換算すると約2万円とされていますから、約46万円です。明治のころの地方の土地は安価でした。
- この土地の地租、固定資産税です。五七銭六厘と書かれていたものが、五八銭に訂正されています。約1万2,000円ほどになります。これが一年間に支払っていた地租です。
- 沿革には、その土地の地目や地積の変遷に関わることと地租に関わることの両方が記載されました。たとえば、第一種地(課税)から第二種地(非課税)に変更になったことなどが記載されます。
- 登記年月日と事故が書かれています。登記年月日は明治廿三年(1890)九月廿ニ日、事故は譲受です。この譲受はサンプル4の譲与と同じ意味で使われているもので、親族同士の間で行われた金銭の授受をともなわな財産分与のことです。
- 次は登記年月日が大正三年(1914)十二月十二日で、事故は相続となっています。最初に登記年月日がないのは明治22年以前からの所有のためで、次は身内への譲受、その次も身内への相続でした。この地がはじめて他人の手に渡ったのは、昭和7年(1932)になってからでした。