古文書を解読する


 今回は家系図作成のため、古文書を解読します。

 ご先祖のことを調べるためには、明治時代や江戸時代に書かれた文書も扱わなければなりません。全国に残る古文書のうち、翻刻されて活字になっているものはほんの一握りです。大多数の古文書は翻刻されることもなく、公文書館や文書館、博物館に保管されています。これら未翻刻の古文書こそが、実は貴重な情報の宝庫なのです。しかし、その時代の文書はくずし字で書かれています。せっかくのお宝を発見しても、読めなければ宝の持ち腐れになってしまいます。そこでご先祖を調べたいという方は、日ごろから古文書を解読する勉強をされることをお勧めします。


古文書サンプル(1)
古文書サンプル(1)


 このサンプルを解読してみましょう。プライバシー保護のため、ぼかしを入れてあります。ぼかしの部分は(伏字)とします。旧漢字は新字体に改めました。


(伏字)願止之義ニ付伺

還禄之者於当(伏字)下ニ地所払下願書去

七月十五日開札之上地第三百三十九号

十月三日附を以、相伺本日八日御指令有之

候、第ニ号之内第(伏字)区(伏字)区(伏字)

(伏字)町一丁目(伏字)寺除地上地之内

西ノ方荒地落札人(伏字)義

右地所、見込違ニ付払下願止之義、別

紙之通申出、今更右様申立候者不

都合ニ候得共、見込違之上ハ無余儀

次第ニ付願之通承届可申候哉相伺

候也

 明治七年十二月廿八日(伏字)


 土地の払下を受けたけれども、荒地だったので、返還したいという嘆願書ですね。次は武士の由緒書からの抜粋です。

古文書サンプル(2)
古文書サンプル(2)

一、給禄四石六斗壱升 

   外終身加禄五分

 嘉永七甲寅年五月十五日鳶之者へ

 被召抱

 初代右之通相違無御座候以上


 どうでしたか? 読めましたか? 

 くずし字とはいえ、我々のご先祖がつい150年くらい前までは日常的に読み書きしていた文字です。見慣れてくれば、よほどひどい癖字でもなければ、読めるようになります。

 ちなみに、古文書などの古い文字を原稿用紙などに書き起こすことを釈文(しゃくぶん)と言い、それを現代日本語に活字化することを翻刻(ほんこく)といいます。 


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