デジタルアーカイブを利用した先祖調査
欧米でのルーツ調査では、インターネットが大きな役割を果たしています。そもそも世界規模でルーツ調べがブームになった背景には、インターネットで先祖の情報が集められるようになったことが大きく影響しています。
戸籍制度の無い欧米では、長い間、ルーツ調べは難しい作業だと思われていました。しかし、現在は違います。ファミリー・サーチやアンセストリー・ドットコムのような組織や会社が国勢調査記録、渡航記録、従軍記録などを次々とオンライン上で配信し、ご先祖に興味のある人は家にソファーに座っていながら、世界中のアーカイブにアクセスすることができるようになったのです。このオンライン化、デジタル化の傾向はますます加速しています。将来的には、パソコンさえあれば、ほとんどの歴史情報にアクセスでき、家系図を作成できてしまう時代が来ることは間違いないでしょう。
日本でのオンライン化は欧米に比べるとまだまだ遅れていますが、公文書館、図書館、博物館などが史料のデジタル画像をじょじょにオンライン上に公開しつつあります。これが順調に進めば、家系調査に欠かせない情報源になってゆくでしょう。また、史料の画像公開だけではなく、その前段としての検索機能(横断検索やキーワード検索の充実)の強化も取り組むべき課題といえます。
現在、家系図作成に役立つ検索、デジタルアーカイブを紹介します。
〔検索〕
これらの検索窓に除籍などで判明したご先祖の氏名、苗字などを入力してみて下さい。ご先祖の記録にヒットするかも知れません。また、「〇〇家譜」のような同姓の系譜が見つかることもあります。
昭和43(1968)年までに国立国会図書館が受け入れた戦前期・戦後期刊行図書、議会資料、法令資料、児童書、震災・災害関係資料などを中心とした資料約350万点をデジタル配信で読む、聴くことができます。そのうち、著作権処理が完了した文献約33万6000点は自宅に居ながらインターネット上で読むことができます。
著作権の保護期間が満了した図書資料・古典籍資料(約33万6000点)の全文と画像が検索可能です。ただし、現在はその作業の途中段階のため、実際に検索できる文献は一部に限られています。すべての作業が完了した時には、日本で最も家系調査に役立つデータベースになるでしょう。
全国の主要な公文書館の文書を横断で検索することができます。現在使用できる人物検索としてはもっとも先祖調べに役立ちます。
国立国会図書館が運営する分野横断型文献検索サイトです。連携しているデータベースは115で、東京大学・京都大学・新潟大学・国土地理院・青森県立図書館・岩手県立図書館・宮城県図書館・群馬県立図書館・福井県立図書館・徳島県立図書館・千葉県立中央図書館など多岐にわたります。検索対象の資料は約2184万点、そのうち約328万点はインターネット上で公開されています。
データーベース選択から横断検索を選択し、キーワードを入力して下さい。
Googleが全世界の図書数百万冊(日々増加中)をスキャンし、全文検索を可能にしたサービスです。精度にはまだ難がありますが、人名録に収録されているような人物であれば、ヒットする可能性が十分にあります。
国立国会図書館リサーチ・ナビ 日本人名情報索引(人文分野)データベース
国立国会図書館所蔵の図書・雑誌から収録人物名を検索できるようにしたデータベースです。現在は一部の図書・雑誌にしか対応していません。
全国の自治体が公開している自治体史や古文書などのデジタルアーカイブを横断検索・閲覧することができます。
ファミリーサーチ(Family Search )は末日聖徒イエスキリスト教会が運営する世界最大規模の家系図オンラインアーカイブです。
検索方法から「キーワード」を選択し、苗字を入力すると、アメリカのファミリーサーチのデーターベースに納められているその苗字をタイトルに含む系図が表示されます。これらの系図は日本の図書館、公文書館が所蔵しているもので、マイクロフィルムに撮影されてファミリーサーチに提供されたものです。画像を見るためにはファミリーサーチホーム画面で無料アカウントを作成した後、サインアップする必要があります。
また無料アカウントを作成し、サインインすれば、日本人約100万人の家系図情報にアクセスすることができるようになります。
〔デジタル文献〕
これから紹介する文献や記録は国立国会図書館デジタルコレクション(約30万点がネットで閲覧可能)、または東京大学史料編纂所に所蔵され、オンライン上に公開されているものです。ネット環境さえあれば、どこでも見ることができます。
ご先祖が公務員(警察官、軍人を含む)だったという方はこちらをお調べください。
上記には地方の職員も掲載されていますが、収録の範囲は地方で作成された職員録のほうが幅広く、かつ詳しく載っています。戦前、ご先祖が道府県の職員(教員も含む)だったという方はこちらもあわせてお調べください。
ご先祖が会社を経営していた、会社の役員・管理職だった、地主だった、資産家だった、地元の村長や議員などの名士だったなど、中産階級以上の社会的地位、経済力を持っていたと聞いている場合はこちらをお調べください。役人だったという方はこちらもお調べください。
道府県単位の紳士録や商工紳士録、地主名鑑、高額納税者名簿、電話帳などを集めました。全国規模の紳士録などに比べると収録されている範囲がさらに広がっていますので、まずはこちらでご先祖の名前を調べてみてください。もしも掲載されていれば、全国規模の紳士録にも載っている可能性があります。
これらの文献は、オンラインで誰でも、どこでも閲覧できるもっとも先祖調査、家系図作成に役立つ名簿類です。ぜひお使いください。
国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている約30万冊(オンライン閲覧)の図書のうち、先祖調査に役立つと思われる名簿の氏名目次をPDFで掲載しています。
将来的には人名データベースを構築し、これら名簿の掲載人物氏名を横断検索できるようにすることが理想ですが、現時点では残念ながらその目途がたっていません。
そこで、とりあえず検索の手間を少しでも減らすため、本文中の氏名目次をアップし、地域別のコマ見出しを作成しました。これらの目次を見て、もしもご先祖の氏名を発見したときは、ぜひ文献本文をご覧ください。
東日本編には全国規模のものと新潟・長野・山梨・神奈川県までのものを、西日本編には富山・岐阜・静岡県以西のものを収めています。外地・移民編には台湾・樺太・関東州(大連・旅順)・朝鮮・南洋群島・満州などの地域・国とハワイ・北米・ブラジル移民。その他編には大学の卒業生、医師、弁護士の名簿など、先祖調査に役立つさまざまな文献を紹介しています。